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21 SH I GA I DA I NEWS v o l . 1 8

疾患発症の分子メカニズムを解明する分子病態生化学

るメカ 結合組織の メカニズム、 と考えています。

 

また、循環器疾患に

中の単球が血管外に出て ジとなり、コレステロール 泡沫細胞に変わり、これが血管 平滑筋をむやみに増殖させてしま 脈硬化の原因の一つであるとされてい

 

単球が血管壁を通り抜けるためには、細

接着が重要な役割を担っています。単球が血 管壁をすり抜けていくために、接着分子を含 め様々な分子が必要であるということは報告 されていますが、全体としてどんな作用をし ているのかはまだわかっていません。

 

動脈硬化の予防法、治療法の確立を目指し

て、通り抜けの分子機構がどうなっているか を明らかにしていきたいと考えています。

 

循環器疾患とがんを研究のターゲットにし

てきたのは、この

2つで日本人の死亡原因の

約 3分の

2を占める重大な疾患だからです。

これらの疾患における細胞接着の役割やメカ ニズムが解明されれば、そのインパクトは非 常に大きいと考えています。 オリジナリティーのある研究で基礎医 学研究の人材育成を目指して

 

研修医時代は循環器内科で心疾患の内科的

治療に積極的に取り組んでいましたが、5年 目で大学院に戻って、当初はシグナル伝達を テーマに、低分子量

Gタンパク質と循環器の

病態との関わりを研究していました。

 

その後、大阪大学の別の研究室に移り、細

胞接着と低分子量

Gタンパク質のシグナル伝

達を合わせて研究することになりました。

 

臨床の現場では毎日患者さんの治療に忙し

い日々 くりと考え いました。あ てた仮説が、いく 証できた時の喜びや みになりました。

 

基礎医学研究のおもしろさ

究成果を積み上げていくことで 体像を捉えることができ、病態の が見えることがあるということです。 これはなかなか簡単なことではありませ

 

臨床医として患者さん一人ひとりと向き

合って治療に取り組み、元気に回復されてい く姿を見ることはもちろん大きな喜びではあ りますが、ある疾患の原因や治療法を解明す ることによって、その病に苦しむ患者さん全 員に希望を与えることができます。そういっ た意味で広がりがあるというのが、基礎医学 研究の魅力ではないかと思います。

 

良き臨床医となることを目指しておられる

方にとっても、

基礎医学研究に携わることは、

より広い視点から疾患にアプローチできるよ うになり、診療にもきっとプラスになるはず です。

 

仮説に基づいて進められる基礎医学研究で

は、仮説どおりにならないことが日常茶飯事 と言っても過言ではないため、フラストレー ションは日常的にありますし、結果を出す ためのプロセスを作っていく難しさもありま す。大きな研究室の場合は、組織的、システ ム的に進めていけることもあるかもしれませ んが、

現在私のいる研究室では、 規模に見合っ たオリジナリティーのある研究をテーマとし ていかなければならないと考えています。

 

そして、本学において基礎医学研究に携わ

る人材を一人でも多く育成し、今後の滋賀医 科大学、ひいては日本の基礎医学の発展に少 しでも貢献していきたいと思います。

ベルで らに、

人の

基礎医学的実 げています。

 

分子病態生化学は、

学?分子生物学的に解明 今後は、さまざまな疾患の 環器疾患を2本柱として研究に きたいと考えています。

 

がんの中でも、特に浸潤や転移のメカ

ムについてはまだ解明されていないこと いため、これからの検討課題になります。

 

がんの浸潤が起こるには、原発巣から細

胞の接着が脆くなる 「破綻」によって外れた がん細胞が、原発巣の周囲にある結合組織に 入っていきます。そこでは、結合組織にある 細胞と異種細胞であるがん細胞との間に相互 作用が起こります。

 

結合組織の細胞から分泌されたサイトカイ

ンや増殖因子が、がん細胞を制御したり、あ るいは性質をさらに悪くするという役割を 担っていることがわかっています。それ以 外にも、結 合組織の細 胞とがん細 胞の接着が 関わってい ると考えら れています が、詳しい ことはまだ わかってい ません。

 がんの浸

潤や転移に ついては、 細胞接着が 「破綻」す

単球の血管外遊走と動脈硬化の進展

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