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SH I GA I DA I NEWS v o l . 1 9
副鼻腔手術の発展とナビ
術、マクロライド療法
近年大きく発展して
代に
物療法の効果が
うになり 果
治療
よる再建
機能回復への取り組み
事ができることと音声
です。頭頸部癌の治
をいかに温存ある
を維持するか 年、血管吻 の部分手術
す。
ないと行 異的免疫療 れていますが、
投与間隔など解決
く残さ おり、未だ
す。 
手術療法は鼻閉が強い重症例
を伴う場合に行います。鼻粘膜
目的としたレーザー手術、鼻腔通気
的とした下鼻甲介切除術、鼻漏の改善を
した後鼻神経切断術などがあります。レー
手術は外来で行うことができますが、再発しや
すいため複数回の処置が必要です。その他 手
術は高い有効性が得られます 、入院加療を要
します。患者さんの症状や希望に合わせて治療
手段を選択しています。
アレルギー疾患の基礎研究
4年前から米国メイヨークリニック免疫アレ
ルギー部門のKita教授のもとへスタッフを
派遣して共同研究を進めています。最近、アレ
ルゲンなどの直接刺激により気道上皮細胞から
放出される
IL
-
33、
IL
-
25、 TSLP (
thymic
stromal lymphopoietin
) などのサイトカインが、
自然型アレ ギー反応と獲得型アレルギー反応
の両者に極めて重要な役割を果たしていること
が注目されています。私たちはこうしたサイト
カイン 放出と作用のメカニズム 検討するこ
とで、アレルギー性鼻炎の病態を明らかにする
試みを続けています。臨床を行いながら基礎研
究者と研究成果を競い合うのは大変ですが、臨
床での疑問 すぐに研究に生かせる利点や、臨
床検体がすぐに手に入る利点、研究成果を臨床
へ還元する視点など臨床医ならではの特徴を生
かした研究を精力的 行っています。
また、花粉症患者に対する初期治療の有用性
や抗ヒスタミン薬の選択、鼻噴霧用ステロイド
の使い方 療法の効果 実際に患者さん
異的免疫療法、手
いただくエビデンスを
耳鼻咽喉科は、大きく耳科学
喉頭学の3つに分けることがで
れぞれが、めまい?難聴?中耳炎?
補聴器?人工内耳、副鼻腔炎?顔面外傷
レルギー?嗅覚味覚、頭頸部腫瘍?扁桃?
状腺?嚥下?音声などのさまざまなサブスペ
シャリティを有しています。特にQOLに深
く関わっている、聴覚?平衡覚?嗅覚?味覚?
嚥下?音声言語?呼吸など、人間が生きてい
くために極めて重要な感覚や機能を扱ってい
ます。こうした耳鼻咽喉科診療の最先端に
いてもご紹介します。
進歩する聴力改善手術、人工内耳の発
展、先天性難聴の遺伝子診断
顕微鏡下の耳科手術も近年大きく発展して
います。真珠腫性中耳炎、慢性中耳炎に対す
る手術の他に耳硬化症、耳小骨離断、外リン
パ漏などのより高度な手術も行っています。
ほぼ
100%の症例で耳漏が停止し、
80%以上の
症例で聴力が改善し、患者さんに大変喜ばれ
ています。補聴器でも会話ができない両耳の
高度難聴に対しては、先進医療である人工内
耳埋め込み術も行っています (図5) 。これは
内耳に直接電極を埋め込んで蝸牛神経を電気
刺激する方法で、まったく聞こえなくなった
人に聴覚を回復させることができる夢 よう
な治療法で 。当教室には自らが人工内耳手
術を受けて、人工内耳を使用している医師が
います。人工内耳にも限界があります 、患
者さんの立場に立って聴覚障害の診療に情熱
抗原の除
体性を促す ニによるアレル
る抗原の除去を行
20
-
25度以下)
や湿度 (
50%以下) を低く保つこ
量に効果的です。花粉に
報を把握して、花粉を避ける
ます。例えば、洗濯物を屋外
た風の強い日中はできるだけ外出を
かける時にはマスクやゴーグルを使用し
に花粉を持ち込まないなどです。
薬物療法は患者さんの症状や重症度に応じて
治療法を選択します。さまざまな薬剤がありま
すが、中等症以上の症例であれば抗ヒスタミン
薬の内服と鼻噴霧用ステロイド薬が基本的な治
療薬で、鼻閉の強い症例には抗ロイコトリエン
薬や抗トロンボキサン薬などを併用します。最
重症例では花粉飛散 ピーク時 鼻噴霧用ステ
ロイドだけでは症状をコントロールできないこ
とがあり、内服ステロイドを短期間併用するこ
ともあります。また、 の少ない初期から抗
ヒスタミン薬などで治療を開始する 「初期療法」
を行うことで、鼻粘膜の過敏性を低下させて花
粉飛散期の症状をかなり抑制することができま
す。抗ヒスタミン薬の問題点として眠気の副作
用がありますが、最近の抗ヒスタミン薬は脳内
への移行が抑制され、眠気 少ない薬剤が多く
なりました。患者さんの症状に合わせて、多く
の薬剤の選択が可能になっています。
特異的免疫療法は長期寛解 (症状が継続的に
軽減した状態) を得ることができる唯一の治療
法です。しかし、治療に用いられるエキスの数
が限られ標準化されていない 、注射療法の
ための通院を要し、できれば2
-
3年の継続注
射が必要なこと、 効果発現が遅くまれに蕁麻疹、
顔面浮腫、アナフィラキシーショックなどの全
身症状が生じることなどの問題があり、当科の
ようなアレルギー専門医のいる専門医療機関で